世界の12の先住民族の物語を紡いでいく旅。ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」
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12の先住民族
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DNA
12の先住民族
※「撮影終了」の先住民族名をクリックすると、取材済みの撮影手記などをご覧になれます。
ABORIGINAL:アボリジナル
CELT:ケルト民族
ALASKAN TLINGIT:アラスカクリンキット族
HOPI:ホピ族
TAIWANEE HILLTRIBE:台湾の山岳民族
NATIVE HAWAIIAN:古代ハワイの先住民族
AINU:アイヌ民族
UNKNOWN:未知
ABORIGINAL:アボリジナル
撮影手記
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「HIBIKI 序章 〜アボリジナル〜」取材クルーの移動 2013年5月8日〜2013年5月30日 オーストラリア国内 総移動距離  約1万1千km
2013.05.08   成田から上海経由でメルボルンに向けて出発。
2013.05.09   メルボルン着。
2013.05.10   メルボルンから深夜バスで、アデレードに向けて出発。
2013.05.11   8時間の旅。アデレードに早朝到着。(726.8km)
2013.05.11   乗り継ぎで10時間待つ。夕方、アデレードから深夜バスでアリス・スプリングスへ向けて出発。
2013.05.12   20時間の旅。15時、アリス・スプリングスに到着。(1,532.3km)
2013.05.12   すぐさまレンタカーで、ウルルに向けて出発。
2013.05.12   ウルルに21時到着。(467.8km)
2013.05.13   HIBIKIクランクイン。中央砂漠。アボリジナル・アナング族 シェーラさん。
2013.05.13   撮影終了後の15時過ぎ。レンタカーでカカドゥ国立公園に向けて北上開始。
   
ウルル → アリス・スプリングス(467.8km) → キャサリン (1,181km)
→ カカドゥ国立公園内ジャビルー(339km)
   
2013.05.16   ジャビルー到着。
   
2013.05.16 〜 2013.05.20 カカドゥ国立公園内で撮影。
20日の夕方、ダーウィンに向けて出発。
   
2013.05.20   21:00頃 ダーウィンに到着。(211km)
2013.05.21   戦争博物館などの市内を視察後、夜、キャサリンに向けて出発。
2013.05.21   深夜キャサリン到着。(316 km)
2013.05.22   早朝、デビルーズ・マーブルへ移動。南下しながら風景撮影開始。
2013.05.24   早朝、アリス・スプリングス到着。
   
キャサリン → デビルーズ・マーブル → アリス・スプリングス(1,181km)
   
2013.05.24   ジェネ(発電機)を返却して、すぐにウルルへ出発。
2013.05.24   お昼頃、ウルルに到着。(467.8km)
   
2013.05.24 〜 2013.05.26 ウルル撮影
   
2013.05.26   ウルルからアリス・スプリングスに向けて出発。(467.8km)
2013.05.27   レンタカーを返却後、アリス・スプリングスから深夜バスに乗ってアドレードに向けて出発。
2013.05.28   20時間の旅。アデレードに早朝着(1,532.3km)
2013.05.28   乗り継ぎで10時間待ち、夜行バスに乗ってメルボルンへ向けて出発。(726.8km)
2013.05.29   メルボルン到着。
2013.05.30   メルボルン出発。上海経由で成田に向かう。
2013.05.31   成田着。
撮影クルー

 オーストラリアの大地を二人でとにかく走った。

 取材の後半、キャサリンという町でバックパッカーの日本人青年と出会う。 彼はアジアなど十数ヶ国を歩いた旅人。途中、HIBIKIの旅を共にしてくれることになった。

 名を「えーちゃん」と呼ぶ。通訳を担ってくれた。

 HIBIKIの取材は、「奇跡に出逢う」旅。えーちゃんとの出会いはまさにそれを象徴している。
 「主なシーン」でそのエピソードをご紹介。

 写真は、オーストラリア中央砂漠にあるアボリジナルの聖地「ウルル」の前で。

HIBIKIスタイル

 HIBIKIは、いくつかの独特なスタイルを持っている。

 その代表的なひとつは、すべてのカットを「ローアングル」で撮る。三脚もロー専用のものしか持ち歩かない。ドキュメンタリーをローだけで出来るのだろうか、チャレンジだ。

 なぜ、すべてをローでやるのか、それは「スタイル」。

 HIBIKIには、「人生ローアングル」という「はじまり」のコンセプトがある。社会の一番の底辺からものごとを見て、感じ考え、行動する。それは両極を煽って対立する為ではなく、「真の謙虚さ」を学び、愛を実践する為に「ローの視線」が「分かりやすい」からだ。

 両極からバランスの時代へ。その一端をHIBIKIが担いたいと思う。

 「人生ローアングル」というからには、「すべてをローアングル」でやってみよう、それがHIBIKIスタイルになった。

 実際、ローアングルで撮影してみて、困難なカメラワークも多々あったが、その課題とまっすぐに向き合うことで新しい創造があり、さらに「HIBIKIスタイル」が洗練されてゆく。

 ・インタビュー

 通常のインタビューは、椅子に座って頂いてやるのが多いのだが、それだとローアングルに構えたカメラからは顔の表情はほとんど見えない。それで、考えたのが「地面にドサッと座って頂く」

 これが思いの外、素晴らしいショットになった。

 「母なる大地とつながってのインタビュー」

 ・俯瞰ショット

 これも通常は、三脚を高く構え、あたりを見渡すのだが、なにせローアングル。俯瞰ショットが撮れない。実はこれには参った。

 カメラを低く構えるので、ちょっとした草でも視線を邪魔するので、全景が撮れない。

 しかし、一本、すっぽんと抜けるローケションが必ずある。そこを根気よく探し出せば、そこから撮影した風景は迫力があった。名付けて「ローな俯瞰」

 
機材リスト

HIBIKI カメラ

 HIBIKIの撮影に準備した機材をご紹介。

 今回、準備の段階でもっとも悩んだのは、カメラの記録媒体。

 最近のカメラは、ハイビジョンになってから、ハードディスクやメモリカードに記録するのがほとんどだ。しかし、これらは撮影後、「収録映像データ」を、パソコンなどにつないで「別のハードディスク」に吐き出す必要がある。

 つまり、「電気」がいる。電気が乏しい砂漠、これらのワークフローがスムーズにいくのだろうか。昔のテープタイプは、カメラ本体のバッテリー充電だけを心配すればよかったが、電気に頼り切ったハイテク機材となるとそうはいかない。

 出来るだけ電気に頼らなくても出来るよう、テープタイプを考えたが、カメラを新しく買う予算は組めず、元々あるP2カメラ(メモリカード式放送用カメラ)を持っていくことになった。

 それと、日本で小容量ではあるが、太陽光発電を一式用意した。

 準備した機材リストはこちらから >>> HIBIKI_kizai_list.pdf

撮影手記

 HIBIKIは、作品でありながら作品主義からの脱却を目指している。

 映画製作の準備からはじまって、そのアプローチ、すべてが「作品」である。

 オーストラリアのロケ中、HIBIKIの賛同者の皆さまに、今、何が起きているのかを、ほぼリアルタイムで発信して来た。移動の途中に立ち寄った各主要都市でインターネットにつながったのがそれを可能にした。

 HIBIKIのアプローチを共にする為に、「アドベンチャーブログ」とネーミングしたそれは、ふたつの視点を持っている。

 ・ディレクターの視点

 ・プロデューサーの視点

 「今、起きていること」を、ディレクターの主観的視点とプロデューサーの客観的視点が伝え続けた。

 それは旅のはじまりと同時に徐々に加速してゆき、賛同者の皆さまから大きな反響を頂いた。

 また、インターネットならではの双方向のやり取りが実現し、旅の途中に賛同者の皆さまから届く応援のメッセージが勇気となって、出逢う奇跡も加速していった。

 これも、HIBIKIの製作の特徴である。

 未知の領域を旅するHIBIKI、奇跡に出逢いたくすべてを天に委ねて突き進むその険しい道のり。日本からリアルタイムで届くひとりひとりの応援のメッセージはそれを照らす光となった。

 今後のすべての取材の基本姿勢になる。

アジェンダ・レス

 ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」の全編を通して大事にしている取材スタンスがある。

 それは「アジェンダ・レス」

 アジェンダ、すなわち計画。レスなので計画を立てないと訳すが、HIBIKIでは、「計画を立て過ぎない」「計画はほどほど」と言う意味を表す。

 ドキュメンタリーが発するメッセージが普遍の真理に近づくにまずはじめにやって来る課題がある。

 「予定調和」の壁だ。乗り越えるにもっとも困難なものである。ともすれば、「ドキュメンタリー」にもかかわらず、ディレクターはじめ製作陣の頭の中の世界「想定内」で完結させようとする力が無意識に働く。

 HIBIKIは「アジェンダ・レス」を持ってこれにチャレンジする。その為には「天に完全に委ねる」覚悟が求められる。

 「HIBIKIのメッセージがもしこの時代に必要ならば導いてください」と、ただ祈るだけである。

 アジェンダ・レスについてロケ中に「ディレクターズ・ノート」に書いたエピソードがあるので、そのまま掲載させて頂く。

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【ディレクターズ・ノート:ファーストコンタクト】
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ノート 2013年5月17日。

 ジャビルカに着いたのは夕方も近く。とにかく急いだ。

 それは今日中に、イボンヌさんのオフィス「グンジェイッミ アボリジナルコーポレーション」に伺い、ファーストコンタクト、つまり挨拶を済ませておきたかった。

 オーストラリアで分かったのは、各機関はだいたい5時に閉まる。今日の夕方までを逃すと明日の朝からの交渉になるのでそのロストは大きい。

 車をオフィスの前に急ブレーキで停めた。

 オーストラリアで撮影するには、とにかく厳しいハードルを乗り越えなければならない。撮影許可申請を出してから、パーミッションが降りるまでに何週間もかかるし、許可が降りるにも緻密な撮影計画を出さなければならない。ある意味、すべてがマスメディアが基準のルールだ。

 ドキュメンタリーにも関わらず、撮る前からディレクターは自分の頭の中の世界、つまり予定調和をきめ細かく企画書に落として、その通り撮る。つまり真の冒険、真のメッセージに出会うには程遠く、想定外の出会い、別の言い方をすれば奇跡に出会うのは非常に難しい。

 しかし、それはしょうがないのだ。スポンサーなどの資金が絡んで来るので、その配慮が重要視される。きめ細かい計画がどうしても「事前に」必要なのだ。また、スポンサーに不利な表現は出来ないので、メッセージのかなりのパーセンテージがコントロールされる。

 ゆえに、僕のようなインディペンデントのドキュメンタリーは、そのコントロールされない「未開地」の部分をやる。

 話しを戻す。つまり、マスメディアの撮影ルールを到底満たすことは、響きには出来ない。もし出来たとしても、その時点で「奇跡」との出会いは遠ざかる。もうひとつは、かなり前から撮影許可申請書を出したとしても、まず通らない。なぜなら、マスメディアが基準なのでそのハードルを超えるのはとても難しい。

 響きが出来るやり方はひとつ。「ほどほど計画」して、あとは、突っ込むしかない。

 メルボルンに到着してから北上する間、日本でジャビルのイボンヌさんと粘り強く交渉を続けてくださった方々がいる。彼女たちは深い愛で私たちを包み込んでは、イボンヌさんに会うんだという信念をずっと支えてくださった。深く感謝。

 僕たちがちょうどジャビルカに着いた時、撮影許可証を送付し終えたという知らせが日本から届いた。

 しかし、僕たちがイボンヌさんのオフィスに足を踏み入れたその時、撮影許可証はまだそこに届いてなかった。間に合うか間に合わないか、とてもスリリングな賭けだったが、不安の気持ちは一切なく、むしろ澄み切った信念のようなものが心の中にあるのに気づく。

 そう、わくわく。きっと、大丈夫と、自分自身の信念と覚悟を再確認した。

 出迎えてくれたスタッフが、しきりなしに「撮影許可証は?」と聞く。門前払いされるかもしれない。しかし、今、この瞬間出来ることをやろうと悟った。

 それは、響きに対する信念を伝えるしかない。それしか出来ない。

 その思いを今日出会ったえーちゃんがこれもまた必死に訳してくれる。

 彼もそんなに英語が得意ではないが、僕と霞末さんのレベルよりは上なのは間違いない。そもそも英語が出来る出来ないのスキルで彼を選んだのではなく、彼のキャラクターが素晴らしいのでお願いしたのだ。とにかく、オフィスのスタッフが分かってくださるかどうかは、もう何も気にならなかった。必死にやった。

 そして、、、僕たちの熱意にスタッフがついに折れた。

 「明日、こちらから電話するからテレフォンナンバーを教えて。その時に言うけど、明日か明後日かにイボンヌさんに会えると思う」と、笑顔で言った。

 奇跡が起きた!僕はもう何も願わない。ただ感謝。ありがとう。そのスタッフに感謝の気持ちでいっぱいになると同時に、この最高の瞬間をプレゼントしてくださった神様にありがとぉと心の中で叫んだ。

 また、遠い日本から最後の瞬間まで諦めないで、撮影の交渉に望んでくださった彼女たちの顔が頭をよぎった。それも僕が知る限りのとびっきりの笑顔たちが今、僕の目の前に、すぐそこにいる。

 明日、電話がかかって来るまでは分からないけれど、不安な気持ちは一切なく、心はとても静かだ。

 深夜が過ぎる今まで、明日、電話がかかって来たらすぐにでもインタビュー出来るよう、聞く内容を紙に書き出す。奇跡を信じて。

主なシーン

 奇蹟に出逢う旅、HIBIKI。「序章〜アボリジナル編〜」の取材でそれを色取る4つのシーンをご紹介。

 ・アボリジナル アナング族 シェーラさんインタビュー

 ・えーちゃんとの出会い

 ・おむすびコミュニケーション

 ・アボリジナル ミラル族 ベロニカさんインタビュー

 「ディレクターズ・ノート」と「プロデューサーズ・ノート」から抜粋。

 「主なシーン」はこちらから>>>

HIBIKI Color 赤:太陽 黄:月 白:宇宙 これらの色を合わせて「世界」を意味する。