世界の12の先住民族の物語を紡いでいく旅。ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」
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HIBIKI ミッション・ストーリー
【起】HIBIKIのはじまり

 2011年3月11日。東日本大震災。多くの命が津波に呑まれた。

 しかし、遡ること100年。その間にも大きな津波が日本各地を何度か襲っている。そして、それを経験した先祖は子孫の私たちにメッセージを残してくれていた。

 岩手県宮古田老 大海嘯記念碑「大地震の後には津波が来る。地震があったら此処へ来て一時間我慢せ」

 例えば、昭和九年に岩手県宮古・田老を襲った大津波。

 私たちの先祖は津波の到達地点にこのようなメッセージを刻んだ「大海嘯記念碑(たいかいしょうきねんひ)」を立てて、子孫がこれ以上先へ居住を構えないように警告してくれていた。

 しかし、先祖が残してくれた大津波の教訓は時と共に薄れていって、海辺の近くに人々は家を構えるようになった。どんどん大きな街になっていく。

 そして、東日本大震災、、、

 田老の人々は、それまではほこりをかぶって色あせっていた「大海嘯記念碑」を今後の教訓へと大事に認識するようになった。

 このようにいつの時代も先祖は子孫が繁栄し幸せを営むよう、その愛のメッセージを残してくれている。

 そのかたちは、このような記念碑だったり、民謡だったり、祭り、踊り、口伝、様々である。

 しかし、この田老の例のようにたったの100年ですら、私たちは忘れてしまっているのだ。

 「100年、200年、1000年と遡っていったら、私たちが忘れてしまった先祖代々からの愛のメッセージにたくさん出逢えるかもしれない」

 調査をしているうちに、あることに気づく。

 「100年、1000年、1万年と、もっともっと遙か昔からの先祖からの愛のメッセージを今もなお大切に守って来た人たちがいる」

 そう、世界各地の辺境に住む先住民族である。

 彼らに伝わる物語を取材し、紡いだら、人類の普遍的な愛、先祖代々から伝わるその愛に出逢えるのではないかと思う。

 その愛のメッセージが、これからの時代を生きる私たちの命の糧になる大切なエネルギーになってほしいとその願いと祈りを込め、HIBIKIプロジェクトがはじまった。

【承】HIBIKIの制作

 HIBIKIの旅は、オーストラリアの先住民族、アボリジナルからはじまる。

 文字文化を持たないアボリジナルは、今から4万年〜6万年も前から、生活の知恵や歴史、掟、猟の方法から葬式、天地創造の神話などを歌や踊りを、先祖代々、アートとして伝承してきた。

 これを「ドリーミング」と呼ぶ。

 アボリジナルは、太古の先祖からの愛のメッセージを今もなお、正確に、大切に守って生活に活かしている。なぜならば、そのメッセージには、過酷な自然環境で生き延びる為の知恵が詰まっているからである。

 HIBIKIのクランクインをアボリジナルから始めるのは、先述の宮古田老の大海嘯記念碑のように、先祖代々から伝わるメッセージは、伝説に終わらすではなく、本来はそこに子孫の私たちが地球と共に幸せに生きる英知で詰まっている、その例が彼らの「ドリーミング」に分かりやすく現れているからだ。

 まさに、HIBIKIのテーマの先頭に立つ先住民族である。

地球 その後、HIBIKIは、イングランドのケルト民族、アラスカに住むネイティブ・インディアンのクリンキット族、北アメリカ大陸のホピ族、台湾の山岳民族、古代ハワイの先住民族、日本のアイヌ民族と、取材を進めていく。

 「7つのはじまりと、5つの空白」

 HIBIKIではそう呼んでいる。取材する先住民族の選定にあたって、「空白」を設けてあるのだ。

 なぜならば、はじめの7つの先住民族を取材していく中で、残りの5つの先住民族に導かれたいからである。想定外の旅をするのだ。

 HIBIKIは、ドキュメンタリー映画のかたちを取るビジュアルメッセージである。ゆえにテーマに導かれるという概念は、HIBIKIに限らずドキュメンタリーを制作する上で重要な心構えであるのだ。

 「ドキュメンタリーは奇跡が突き動かす」

 では、どうして「12の先住民族」なのか。

 12は、「サイクル」を表す。12ヶ月で1年という周期。そのサイクル。HIBIKIはその自然の摂理にシンクロするビジュアルメッセージでありたい。

 もうひとつ大切なコンセプトは、12の先住民族を紡いでいくけれども、オムニバスのように各先住民族を区切って表現しない。

 これまでの先住民族に関するドキュメンタリーは、何かのテーマに沿ってひとつひとつを表現したものがほとんどだ。しかし、HIBIKIは、12もの先住民族を紡ぐ、つなぐのである。

 紡いだ先に見える世界は、、、未知。

 ドキュメンタリーだから、「未知」という表現が今のフェーズでは適切であろう。

 しかし、その未知の世界には、何かとてつもなく大きな愛があるような気がする。

 地球の、大自然の、遙か昔の先祖の、それらの大きな愛に包まれた、「今を生きる私たち」の鼓動が聞こえてくるのではないかと思う。

HIBIKIの展開

 HIBIKIは、ドキュメンタリー映画という形を取る。ゆえに、メッセージ(作品)が完成した後は、劇場で公開する予定。

 展開イメージとしては、以下の順になるだろう。

 1、日本国内・海外の映画祭にエントリー。
 2、日本国内・海外において劇場公開。主に単館上映。
 3、一定期間の劇場上映ののち、DVD化。

 HIBIKIは、世界の先住民族を扱う。世界の多くの方々に触れて頂きたいメッセージなので、製作の初めから、「世界中で上映する」イメージをもって取り組む。このスタンスはとても重要で、HIBIKIが偏ったメッセージにならないよう、表現する言葉一句一句にそのデリカシーを追求していく。

HIBIKIのつづき

 HIBIKIは、ドキュメンタリー映画というかたちを取るビジュアルメッセージ。

 「つづき」があるのだ。

 この「つづき」が、HIBIKIの「ネクスト・ミッション」につながる。

 一定期間の劇場上映ののち、「HIBIKI音楽祭」という野音を企画している。

 日本の聖地、富士山。

 富士山の麓で、HIBIKIの旅で出逢った世界の12の先住民族を招き、先住民族音楽祭を行う。

 歌と踊り、先住民族のそれらは、世界のひとりひとりとつながり、祈りとなって、「地球」に愛を届ける。

つづく……
HIBIKI Color 赤:太陽 黄:月 白:宇宙 これらの色を合わせて「世界」を意味する。