なぜ「物語」なのか。
例えば、日本の天皇系、宮中には「文字にしてはならない」ルールがあり、多くの伝承は、今でも巫女による口伝だという。修験道でも、師匠から弟子へ大事な真理は口伝である。
世界各地の先住民族も、口伝、つまり物語として今もなお子孫たちの大切なスピリッツに継承されている。
口伝は、一見、軟弱な「記録」に見えるが、そうではなく、確実な「情報」の記録方法だと思う。
紙は燃えると無くなる。文献が燃えて、消えていった歴史上の文化は数多い。
では、電子データに頼りきった現代はどうか?
これはもっともろい。DVDの記録媒体はもって10年くらいと言われる。
あとは、原始から存在する「石に掘る」も確実と言えるが、伝える情報量とニュアンスは限られる。
しかし、口伝は、物語を知っている人が生きている限り、「伝わる」、「記録される」のである。それが、先祖代々から伝わる「物語」だ。
「物語」はファンタジーに思われがちだが、「正確な太古からの記録」ではないかと思う。
ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」は、世界の12の先住民族を取材する。
彼らが持っている「物語」を紡いでいくのだ。
太古からの人類の歴史を、眠っているその記録を、クールに、別の言い方をすれば、科学的に取り上げるドキュメンタリーとも言えるだろう。でもって、ファンタジー。
粋な科学であり、クールなスピリチュアルとも言えるだろう。そのチャレンジである。
12の先住民族の物語を紡いだら、「地球」のその大きな愛の「環」の中に人類がすっぽり包まれているのに気づくのではないだろうか。