【起:ドリーミング】
HIBIKIの旅は、オーストラリアの先住民族、アボリジナルからはじまる。
文字文化を持たないアボリジナルは、今から4万年〜6万年も前から、生活の知恵や歴史、掟、猟の方法から葬式、天地創造の神話などの歌や踊りに託し、先祖代々、アートとして伝承してきた。
これを「ドリーミング」と呼ぶ。
アボリジナルは、太古の先祖からの愛のメッセージを今もなお、正確に、大切に守って生活に活かしている。なぜならば、そのメッセージには、過酷な自然環境で生き延びる為の知恵が詰まっているからである。
HIBIKIのクランクインをアボリジナルから始めるのは、先述の宮古田老の大海嘯記念碑のように、先祖代々から伝わるメッセージは、伝説に終わらせるのではなく、本来はそこに子孫の私たちが地球と共に幸せに生きる英知が詰まっている、その例が彼らの「ドリーミング」に分かりやすく現れているからだ。
取材班は、アボリジナルと生活をともにし、今現在、ドリーミングが彼らの日常生活の中でどのような役割を果たしているのかを軸に、ドリーミングの歴史から子孫への伝達方法を取材する。
【承:ドリーミングとウラン】
2012年3月11日、東日本大震災から一年後の追悼式に、オーストラリアの先住民族アボリジナルの女性たちが来日して、歌と祈りを捧げた。
それは、アボリジナルの居住区にはウランの鉱山があり、それを先祖代々から守って来たのが彼らであるが、しかし、文明の波が押し寄せて来た近代に、そのウランを「自分たち」が流出させてしまったので、このような災難を日本にもたらせたと、その大地の怒りを鎮める為のお祈りだったという。多くの日本人が感動に包まれた。
アボリジナルのその思いに迫る。
HIBIKIは問題提起型のドキュメンタリーでない。先祖が私たち子孫の為に残してくれたその愛を取り上げる
この視点が極めて重要であることをHIBIKIに関わる一同が共有し、ドリーミングとアボリジナルが思うウランを取材する。
【転:アボリジナルの日々】
取材班は、アボリジナルの日常生活を深く掘り下げて行く。
その無意識なまでの日常生活にあるディティールに、先祖から受け継がれて来た愛はどのようにあり続けているのか。または変化・進化しているのか。
そして、近代文明に触れて、それらのメッセージはどのような形として残っているのか。
歌や踊り、お祈り、お祭り、これらの儀礼を通して見える世界は?
今を生きるアボリジナルが、100年、200年、千年、一万年と、これからの子孫に伝えたいメッセージは?
【結:普遍の愛】
「HIBIKI 序章 〜アボリジナル〜」を通して、人類の普遍の愛に触れたい。
そして、残りの11の先住民族へとその愛をつないでゆく。
つづく、、、