現地時間 2014.5.27. 14:00
今度は海の妖精さんと来たぁ。
もう、、ここまですべてがジャストタイミングに、次から次へと想定もしてなかったことが起こり続けたら、、、もしアインシュタインが生きていたら、その方程式を見つけようと躍起になっていたかも知れない。
しかし、妖精さんの遊びは、いつの時も、人より一枚上手だろうなぁ。
今日はアイルランドに、アランに、響きの旅に出て、はじめてキャメラを持たない日になった。
歩き続けた90日間。やっとの休息日である。
しかし、僕には目的があった。
お世話になった、いや、お世話ところではない、命の恩人、TEさんとT子さんに、感謝のお礼をしたいと思っていた。
しかし、お金は、ダブリンの空港まで行きつけるかどうかのレベルで、何かを買って贈り物にするなんて到底出来ない。
アランは島。当然ながら魚介類に豊かと思いきゃ、とても高い。魚を求めるならば、上等のステーキが買えるくらいなのだ。
理由はいろいろある。かつては半農半漁の島が、今では継承者がほとんどなく、廃れている。
島に高校まではあるが、若者は大学に行く為に、基本、成人したら都会に出てゆく。
しかし、戻って来る人はほとんどいないようだ。
そんな事情もあって、漁師が獲る魚介類は非常に貴重で、そのほとんどをお金を持っている観光客に売るに充てがわれている。
なので、シマンチューがお魚を食べられるのは、友だちの漁師からのおこぼれくらいだ。
TEさんとT子さんが、魚を食べたいと言う。
よっし!今度、時間が出来たら、釣りをして、TEさんとT子さんに腹いっぱいにお魚をご馳走しよう!
そして、それが今日である。
しかし、釣り竿があるわけがない。
でも、釣り糸だけはなんとか調達出来た。
糸の先に釣り針と重しになる石を取り付けて、あとはぶんぶんと振り回して遠くに投げるのみ。
シマンチューしか分からないフィッシングポイントを教えてもらい、朝早くからスタート。
ちなみに僕が今いるところは、オフロードの岩だらけ。岸壁を降りたり登ったりして、辿り着く。
さすがに膝が笑った。
でも、TEさんとT子さんにお礼のお魚をとその必死な思いだけで、ポイントに辛うじて到着。
いざ、釣り、スタート!
「・・・・・・」
そうあまくない。
浮きも付けてないので、とにかく、感覚だ。
2、3時間経っても、一匹も釣れないので、諦めて違う場所を探そうと、垂らした釣り糸を巻き上げた。
うむ、糸がちょっと重い!?
なんと、一匹、釣れた!
まぁまぁのサイズ。これなら、3匹釣れば今日のディナーだ!
気を取り直して、同じ場所でぶんぶんと糸を振り回しては、遠くへ投げる。
「・・・・・・」
さらに、1時間が経ってもお魚は来てくれない。
あぁ、さすがに釣りは難しいかなぁ、、、TEさんとT子さんになんとしてもお礼をしたいのに、、、申し訳ないなぁ、、、
そこを諦めて、別のところに移ろうと糸を巻き上げはじめた。
と、その時!
海の底でこの様子を見ていた妖精さんが、釣れない僕を哀れみに思ったのか、釣り針に、どでかいお魚をひょういと付けてくれる。
その大きさ、、、えーと、日本で言うと紅鮭一匹くらい、、、とにかく、どでかい!
しかも、一度に5匹も!
細い釣り糸が切れるんではないかと冷や冷やしながら陸に引き揚げた。
あり得ない。でも、現実だ。
とにかく、一瞬にしてミッションクリア!
帰ったら、TEさんとT子さんも目を丸くするだろうなぁ。
さて、一度にどでかい魚を5匹も僕に与えてくれた、海の妖精さん。
その正体とは?
ジャジャーン!
僕が釣り糸を垂らしているところは、岸壁。その下を、遠くの海から一隻のボートが、どんどん僕のほうに近寄って来る。
あぁ、エンジン音でさらにお魚が逃げるなぁ、、、でも、誰か知らないが、手は振っておこう。
「おーい!」
と、手を大きく降ったら、どんどん僕のはるか下まで近寄って来る。
「僕は日本から来ましたぁあああ! いーまー、さ・か・なを釣っているんですがー、なかなか釣れませーん。ははは」
「そうか、、、お前さん、魚がほしいのか。よーし、釣り糸を投げろー」
「え!?」
とにかく、ぶんぶん投げる。3度目で彼のボートに。
何やら僕の釣り糸に魚をくっつけているようだが、遠すぎて見えない。
「おーい、引き揚げろーおぉ」
しかし、その声に、引き揚げようとしても、びくともしない。
恐る恐る下を見るとなんと、どでかい遠魚でしか取れない魚が!
多分、TEさんから聞いていた島の付近で採れる真タラだ。
うぅ、、、でも、一度につけ過ぎやぁ。
それから糸が切れないように格闘すること、20分。
海の妖精さんからの贈り物を確かに受け取った。
まさかこう来たか。
僕に魚を与えてくれた海の妖精さんは、もう遠く水平線の近く。
妖精さん、妖精さん、いつまで遊ぶんですか?
あなたにはクライマックスはないのですか?
でも、ありがとうございます。
愛してますよぉ、妖精さん。
僕のそれからというと、お天気も最高なので、岩の上で陽光を浴びながら、ゆうゆうとコーヒーを飲んで、これを書いている。
帰って、TEさんとT子さんをどう驚かそうか。