世界の12の先住民族の物語を紡いでいく旅。ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」
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12の先住民族
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DNA
12の先住民族
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ABORIGINAL:アボリジナル
CELT:ケルト民族
ALASKAN TLINGIT:アラスカクリンキット族
HOPI:ホピ族
TAIWANEE HILLTRIBE:台湾の原住民族
NATIVE HAWAIIAN:古代ハワイの先住民族
AINU:アイヌ民族
UNKNOWN:未知
アイヌ民族
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アイヌ民族について

主に北海道に住む、日本の先住民族である。

文字を持たず、知恵や歴史はすべて口承で伝えて来た。元来は狩猟採集民族。

北海道地図おおよそ17世紀から19世紀において、東北地方北部から北海道(蝦夷ヶ島)・樺太(サハリン)・千島列島およびロシア・カムチャツカ半島南部にまたがる広い地域に、アイヌモシリ(人間の住む大地)として先住していた。

現在の人口は、確かではないが、2006年に北海道内で調査に応じた者のみで、約2万3千人。

北海道内総人口が、約500万人なので、そのうち1パーセントがアイヌ民族である。

白老町(胆振地方)・平取町(日高地方)・阿寒町(釧路地方)に、多くが住んでいる。

母語はアイヌ語。

アイヌ語は他に類似した言語を持たない「孤立した言語」であり、日本語ともほとんど共通点を持たない。
縄文時代の言語をそのまま残しているという説もある。

アイヌとは、アイヌ語で「人間」を意味する言葉。

「カムイ」に対する概念としての「人間」という意味である。

「カムイ」とは、「神」を指す言葉であるが、自然界の全てのものに魂があるという世界観を持っている。

台湾の原住民族「アミ族」の「カワス」と、とても似ている。

長い間、大和朝廷を中心とする日本とは違う歴史を辿り、独自の文化を築いて来た。

生業の毛皮や海産物などをもって、現在のロシアのハバロフスク地方、アムール川下流域沿海州、そして、カムチャッカ半島、これらの地域と交易を行っていた。

アイヌ民族は、北東アジア有数の海洋交易民族であった。

しかし、19世紀に列強の国々が領土拡張するにあたり、多くの先住民族が編入されたように、アイヌ民族も同様の運命を辿る。

日本(大和朝廷)は、古来から東方の「まつろわざる民」を「蝦夷(エミシ)」と称しており、これがアイヌ民族の祖先の一部と考えられている。

考古学的には、北海道において、本州で弥生時代が始まった後も、蝦夷(エミシ)が、狩猟採集生活を続けた時代を、続縄文時代と呼び、これが7世紀頃まで続く。

13世紀に入ると擦文文化、オホーツク文化両者の特徴を取り入れたアイヌ文化が成立する。

また、この頃から日本(大和朝廷)では、蝦夷(エミシ)は、蝦夷(エゾ)と読まれ、アイヌ民族を指すようになる。

アニミズム

アイヌ民族アイヌ民族と、響きでこれまで取材して来た先住民族との共通点に、アニミズムを挙げられる。

アニミズムとは、自然崇拝、先祖崇拝のことで、人も自然の一部であると考える。

アイヌ神話も、他の先住民族の神話も、精霊によって自然が造られたとされ、動物・植物を人間に贈ってくれる神々に感謝し、必要なものだけを狩猟採集しては、祀って再び神々の世界に送り帰す。

自然界の土地も動植物も、神々のものであり、私有財産という観念はない。

アイヌ民族は、世界が、アイヌモシリ(人間の世界)と、カムイモシリ(神々の世界)に分けられていて、カムイモシリの精霊が、何らかの役割を持って、アイヌモシリの事柄に宿っていると考えている。

日本の神道にも近く、動植物・道具・自然現象・疫病など、あらゆる物に「ラマッ」と呼ばれる精霊が宿っている。

これまでの響きの旅で、それぞれの先住民族のアニミズムに触れて思うことは、

人が、「優しく生きる」、その「道」ではないだろうか。

大自然への畏れと尊敬。そして、生かされる喜び。

人は自然の一部であり、「生きる」そのものが、神々に捧げる祈りの行為であろう。

取材コンセプト

アイヌ民族響き第7章アイヌ民族のテーマは、「人と神々」

神とはどのような存在なのか?

そして、それは人にとってどのような意味を持つのか?

人と自然と神々との調和。ハーモニー。

これまで、響き6つの旅をして学んで来た、人と神々、その世界を、日本の先住民族、アイヌ民族に問いでみようと思う。

また、アイヌ民族に先祖代々から伝わる知恵、そして、それを受け継ぐ今を生きる彼らが、次の子孫にスピリッツをつないでゆく為に、どのような取り組みをしているか?

響き12の旅の、後半のはじまり、アイヌ民族。

それは、響き最終章「縄文」へつながる重要な旅になるだろう。

以下の、5つのアプローチで取材を進める。

・儀式(セレモニー)

・ユーカラ(口承伝承の叙事詩。ストーリィテラー)

・アイヌ音楽と古式舞踊

・アイヌ紋様

・生活(チャランケなど)

儀式:セレモニー

古から人類にとって儀式(セレモニー)とは、人と神々をつなぐもの。世界をひとつにするもの。

・イオマンテ

アイヌ民族の代表的な儀式のひとつに、「イオマンテ」がある。

「カムイを行かせる」という意味を持つ。

イオマンテを行うアイヌの男性たち。供物を捧げている。儀礼として、「神が肉と毛皮を携えて人間界に現れた姿」とされる熊を、集落で大切に飼育し、土産物(肉と毛皮)を受け取った上で、その魂を持つ「カムイ」を、天界に送り返す儀式。

祭壇は「ヌサ」とよばれ、ヒグマの頭骨が祀られた

イオマンテというと、飼い熊送りの儀式としての、ヒグマのイオマンテを指すことが多い。一部の地域ではシマフクロウのイオマンテ、またシャチを対象とするイオマンテもある。

イオマンテは、神々の国からつかわされた熊神を、供え物を用意してもてなし、一定期間飼育したのち、熊を檻から出して、歓待の円舞を舞う。

その後、熊に仮装していた神が霊魂となって、神の国に帰られるように、熊を解体して祈り詞を捧げる。

アイヌ民族は自身が獲得する動物たちを天上界に住む神々の化身と捉えてきた。

その彼らが諸神と互酬的な関係を結び、生活資源の安定供給を得る目的で行ってきた儀礼が、「霊送り」である。

アイヌ民族は、神々を、日頃天上界に暮らしながら時折ある種の役目を担って人間界を訪れてもくれる存在と考えてきた。

その神々が人間界を訪れる際、めいめい特定の姿にハヨクペ(仮装)して現れると信じてきた。

「神々は人間界から数多くの土産を持ち帰ることにより天上界で面目を保てる。沢山の土産を持ち帰った神はそれらを披露し、厚遇を語ることで、他の神々の来訪も促してくれる」

そうした信念のもとに、アイヌは実際、獲得した動物の殆どを「送り」儀礼の対象とし、特に神霊の坐所と信ずる頭骨を丁重にヌササン(幣柵)に祀り、肉や毛皮等をもたらしてくれた返礼にイナウやトノト(濁酒)、シト(団子)、土産となる数多の品々を捧げてきた。

イオマンテの宴で語るユーカラは、佳境に入ったところでわざと中断する。神が続きを聞きたがり、再訪することを願うのである。

・カムイ・ホプニレ

イナウ飼育したヒグマを対象とする儀式を、「イオマンテ」と呼ぶに対して、狩猟によって捕殺した野生のヒグマを対象とする儀式は、「カムイ・ホプニレ」と呼んで区別することがある。

狩猟で殺した直後の獣のカムイは、魂の形で両耳の間に留まっているという。

カムイ・ホプニレの儀式では、祭壇を設えてヒグマの頭部を祀り、酒食や「イナウ」を捧げてそのカムイに神々の世界にお帰り頂くのである。

「イナウ」とは、カムイ先祖と人間の間を取り持つ祭具のひとつ。強いて言えば御幣に相当するが、供物としての性質を持つ。

熊を神聖視し、その捕殺時に儀礼を行う慣習が、ユーラシア大陸の北部に暮らす先住民族たち、ほぼ全域にある。

 

・カムイノミ(神々への祈り)

アイヌ民族にとっての神は、囲炉裏で燃える火も神、家のまわりに立つ一本一本の木も神、家自体も神。

このようにあらゆるものに魂が宿っていて、なかでも動物や植物など人間に恵みを与えてくれるもの、火や水、生活用具などのように人間の生活に欠かせないもの、あるいは地震や津波など人間の力が及ばないものも、「カムイ(神)」と呼んで敬う。

・火の神へのイノミ

アイヌ民族の信仰において特別な儀礼。

火の神は、人と神々との仲介役。

アイヌ民族にとって、火なくして祈りは成立しない。

火の神は、胆振・日高地方では女神と考えられており、

アペフチカムイ(火の女神)、モシリコロフチ(国土を領する女神)、イレスフチ(子育ての女神)などの名で呼ばれる。

また、アペメルコヤンマッ・ウナメルコヤンマッ(火の輝きが炉辺に寄り上がる女神、灰の輝きが炉辺に寄り上がる女神)
という長い名前も持っている。

火は実生活上重要であることはいうまでないが、アイヌの信仰において特別な地位を占めている。

儀礼において真っ先に祈るのは火の神であるし、儀礼の最後に祈るのも火の神。

火の神は、人間の言葉の足りないところを補い正し、案件を吟味した上で所定の神へと伝えてくれる。

また、神酒や供物も、火の神をとおして神の国へ届けられるという考え。

ただ、人と神との間には火の神だけが介在するものではなく、火の神が直接伝令に走るとも考えられていない。

祈り手は自分の憑き神の力を借りて祈り、祈り手の周辺ではイナウ(木幣)やヌサ(祭壇)、トゥキ(酒杯)、イクパスイ(捧酒箸)などの儀礼具、エムシ(儀刀)やサパウンペ(幣冠)などの礼装などがそれぞれ霊的役割をもって人間の祈りを助ける。

また、火の神の周辺では煙や火の粉、火の神の配下神であるスワッ(炉鉤)、イヌンペサウシペ(削り台)、宝物に宿る神々などが協力し、神の国でも直接間接に様々な神々を経由して最終目的地となる神の許へ、祈り詞や酒、供物が届へくと考えられている。

他の伝承儀礼に、シンヌラッパ(祖先供養祭)、アシリチェプノミ(初鮭を迎える儀式)、コタンノミ(春秋の集落の儀式)などがある。

「コタン」とは、儀式の母胎となるアイヌの集落共同体のことである。

ユーカラ

文字を持たないアイヌ民族に伝わる口承伝承の叙事詩

生活の知恵や歴史はすべて口承で伝承されて来た。

明治時代、アイヌ出身の知里幸恵がローマ字表記のユーカラと日本語訳を併記して紹介した『アイヌ神謡集』を出版したほか、金田一京助が長大なユーカラ研究を発表している。

短いものから何日もかけて語られる長いものまである。

ユーカラは、「人間のユーカラ」(英雄叙事詩)と「カムイユーカラ」(神謡)の二種類に分けられる。

人間(アイヌ)を中心として語られるユーカラは、主にポンヤウンペと呼ばれる少年が活躍する冒険譚である。

・アイヌ民族の創造と人祖神降臨

口元に刺青を入れたアイヌの女性天地(空・島)とカムイは、このようにはじまる。

昔、この世に国も土地もまだ何もない時、青海原の中の浮き油のような物ができて、これが燃え上がり立ち昇って、空となった。

そして後に残った濁ったものが固まって、島(現北海道)となった。

その内、モヤモヤとした氣が集まって一柱の神(カムイ)が生まれ出た。

一方、清く明るい空の氣からも一柱の神が生まれ、その神が五色の雲に乗って地上に降って来た。

五色雲による世界の構築がはじまる。

五色の雲の中の青い雲を投げ入れ、海ができた。そして黄色の雲を投げては、「地上の島を土でおおいつくせ」と言い、赤い雲をまいて、「金銀珠玉の宝物になれ」、白い雲で、「草木、鳥、獣、魚、虫になれ」と言うと、それぞれのモノができあがった。

その後、天神・地神の二柱の神が、「この国を統率する神がいなくては困るが、どうしたものだろう」と考えているところへ、一羽のフクロウが飛んで来て、目をパチパチして、多くの神々が産まれたという。

沢山の神々が生まれた中で、ペケレチュプ(日の神)、クンネチュプ(月の神)という二柱の光り輝く美しい神々は、この国(タンシリ)の霧(ウララ)の深く暗い所を照らそうと、ペケレチュプはマツネシリ(雌岳)から、クンネチュプはピンネシリ(雄岳)からクンネニシ(黒雲)に乗って天に昇られたのである。

また、この濁ったものが固まってできたモシリ(島根)の始まりが、今のシリベシの山(後方羊蹄山)であると言う。

ペケレは「明るい」を意味し、チュプは「太陽」を意味する。一方、クンネチュプは、直訳すれば、「黒い太陽」である。

沢山生まれた神々は、火を作ったり、土を司る神となったりした。

火を作った神は、全ての食糧=アワ・ヒエ・キビの種子を土にまいて育てる事を教え、土を司る神は、草木の事の全て、木の皮をはいで着物を作る事などを教えた。

その他、水を司る神、金を司る神、人間を司る神などがいて、サケを取り、マスをやすで突き、ニシンを網で取ったり、色々と工夫をして、その子孫の神々に教えられた。

こうしてアイヌモシリは創造され、次いで他の動物達も創造される。

さらに神の姿に似せた「人間(アイヌ)」も創造される。

その後は、神々の国と人間界とを仲介する、人祖神アイヌラックルが登場する事となる。

彼は沙流(サル)地方(現日高・平取町)に降りた。

アイヌラックルは、アイヌ民族を語る上でとても重要な神。地上で義姉に育てられた英雄神である。

地上と人間の平和を守る神とされ、オイナカムイ、オキクルミなどの別名でも伝えられている。

・コロポックル

コロポックルは、妖精のこと。

響き第2章ケルト民族で取材した「妖精」と、役割などその性質がとても似ている。

また、沖縄にはキジムナーという妖精がいて、これにも似ている。

このように、小人族に関する伝説は世界各地に残っていて、人類共通の普遍的な世界観ではないかと思う。

アイヌ民族の「コロポックル」、響きにとっても興味深く、今旅で取材しようと思う。

十勝地方が、「シアンルル」と呼ばれていた頃に、「コロポックル」を、このように伝えている。

この地に、「コロポックル」という小人族が住んでいた。

コロポックルは、人々に大変親切で、狩りをして獣を獲っても、魚を獲っても、決して自分たちだけのものにはせず、いつもアイヌの村を訪れては、人目を忍んで、こっそり家に置いていく。

いつも、こっそり食料を置いていくので、誰もその姿を見た者はいなかった。

ある夜、一人のコロポックルがアイヌの家に、ウサギの肉を届けに来て、戸のすき間からそっと中に入ろうとした。

家の中にいた男たちは、すき間から伸びた手を見て、

「おお、コロポックルじゃ。何と白くて美しい手をしているのだ。今まで姿を見たことがないが、どんな顔をしているのだろう?」

と、その手をつかんで、家の中に、引っ張り込んだ。

男達は驚いた。

コロポックルは、若い裸の娘だった。

コロポックルは恥ずかしさで、体中まっ赤にして、泣きながら外へ飛び出した。

このことを聞いて腹を立てたコロポックルの仲間たちは、

「この土地は、干したように枯れてゆくだろう。これからは、この地を、トカプチ(乾せるの意味)と呼ぼう」

と、言い残し、この地方を見捨てて去っていった。

それからはこの地は、「卜カプチ(十勝)」と呼ばれるようになり、やがて人々はみんな滅んでしまった。

アイヌ音楽と古式舞踊

アイヌ民族を代表する楽器と言えば、口琴のムックリと、琴のトンコリがある。

ムックリ・ムックリ

ムックリは、竹製の薄い板(弁)に紐がついており、この紐を引っ張る事で弁を震動させて音を出し、これを口腔に共鳴させる。

音程はほとんど一つの音高から変わらないが、口の形を変えることにより共鳴する倍音を変化させて音楽表現とする。

ムックリは口琴の一種であり、響き第5章で取材した台湾の原住民族など、世界に類似の楽器が多数ある。

また、口腔を利用し倍音を変化させる楽器は他に、響き第1章で取材したアボリジナルのディジュリドゥ、声楽表現としては、モンゴル族のホーミーがある。

・トンコリ

トンコリは、アイヌ民族に伝わる伝統的な弦楽器で、五弦琴(三弦や六弦のものもある)。

胴体部は細長く直線的な作りで先端は尖っている。

各部はアイヌ民族の他の民具同様に人体になぞらえて呼ばれる。

ヘッドに相当する部分は同様に頭、首と呼ぶ。

弦を巻き付ける部位を耳、胴体先端の尖った部位は足、足にある弦の付け根はそれを覆うように動物の毛皮を貼り付け、これを陰毛と呼ぶ。またその裏側を尻と呼ぶ。

胴部中央にはへそと呼ぶ穴があいていて、そこにラマトゥフ(魂)と呼ぶガラス玉を入れる。

ギター等と異なりフレットがないだけでなく、弦を指板におしつけて音を変えることもない。したがってハープ等と同じく基本的には弦の数(つまり五音)しか音が出ない。

素材はエゾマツやホオノキ、弦にはかつては動物の腱やイラクサの繊維をより合わせた物が用いられていた。

フッタレチュイ・アイヌ古式舞踊

アイヌ古式舞踊は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

アイヌ民族の踊りは、祖先や神々に対して敬意や感謝を表す表現でもあり、動物や自然、狩猟や遊び、喜びや哀しみなどを表す様々なものがある。

これらの踊りは地域によって、「リムセ」や「ウポポ」、「ホリッパ」と言われ、大勢で輪になって踊るものや、少人数で神々への祈りを表したもの、豊漁猟を祈願するもの、悪霊を追い払うためのもの、働いている様子を表したものなど、さまざまな種類がある。

中に、黒髪の踊り「フッタレチュイ」は、台湾の原住民族にも酷似したものがあり、先住民族文化のつながりを感じられる。

アイヌ紋様

衣服や服飾品を彩るアイヌ文様は、先祖代々受け継がれるもので、女性たちは母方の系譜に従って、幼い頃から刺繍文様などを教えられて育つ。

一方、男性達は、父方の系譜から、木に小刀で刻む彫刻文様などが伝えられて来た。

幼いうちは砂浜に棒などで文様を描く練習をし、これが上達すると布や木に文様を施すようになる。

文様は家系や地域によって異なるが、いずれも魔よけの願いが込められたものとされている。

基本の文様にはそれぞれ意味があり、これらを組み合わせて複雑な文様を描く。

モレウアイウシシキ

・モレウ(渦巻)

「モ(ゆっくり) レウ(まがる)」

渦文には、力が宿るとされる。

・アイウシ(棘)

「アイ(矢) ウシ(突く)」

棘文には「いばらやたんぼ」などの棘のことで、魔よけとしての意味もある。棘によって身を守るという思いが込められている。

・シキ(シク)

「目」

空の星のように、優しく見守るという思いが込められている。

生活:チャランケなど

チャランケとは、アイヌ語で、「とことん話し合うこと」

アイヌ社会における秩序維持の方法で、談判、論議の意。

アイヌの人々は、争いがある時、まず「チャランケ」から始める。

対立する者同士が、向かい合い、話術の限りを尽くして相手を説得するというもの。

三日三晩続くこともあったと言う。

「より美しい真実の言葉を話したほうが勝つ」とされる。

このように、チャランケをはじめとする、アイヌ民族の生活様式から、彼らが平和をいかに重んじているかを知ることが出来る。

響き第7章アイヌ民族、人と神々。人は自然の一部である。それを体験する旅であろう。

HIBIKI Color 赤:太陽 黄:月 白:宇宙 これらの色を合わせて「世界」を意味する。