【口伝】
ケルト人にとって、「言葉」は神聖なるもの。重要な伝承や物語は、すべて「口伝」で伝えられた。といっても、まったくの「無文字」文化ではなかったようだが、「文字」にすると「言葉」の神聖なるパワーが失われるとされた。
重要な伝承、「口伝」を担ったのが、「ドルイド」という、ケルト社会において極めて高い位の僧侶たちだった。
ドルイドになるには何十年も修行を積むと言う。覚える伝承は、250以上の物語に、またそれぞれから派生するものが100以上と言われている。
これらをすべて「口伝」で伝え、覚えた。
中でも、「バード」という詩人の階級は非常に高く、彼らの要求は王さえも従った。
情報を司る、当時のマスコミである。いつの時代も「情報」は、権力を操る。
神聖なる「言葉」を操る宗教的指導者「ドルイド」、彼らの影響力は超越していた。
特に、HIBIKIで注目しているのが、アイルランドの詩人神官「フィリ」と言われる位の人たちだ。
ドルイドは後にキリスト教に滅ぼされるが、フィリは伝承の担い手として生き延びる。
HIBIKIの旅で、今に生きるフィリの子孫に出逢いたい。
彼らはすべてを「口伝」で伝えて来た為、ドルイドの滅びは、「ケルト文化」をいっそう謎にした。
今、私たちが知ることの出来るケルトに関する資料は、ローマ軍によるものだったり、キリスト教の僧侶によるものだったりで、キリスト教文化が入り交じった形で残っている。
それでも、アイルランドは地理的な条件などにより「守られていた」のだろう、ブリテン島のイングランドやスコットランド、ウェールズに比べて、多くの伝承が今も残っている。
それは、「歌」だったり、「お祭り」だったり。HIBIKIにとっても魅力溢れるテーマだ。