世界の12の先住民族の物語を紡いでいく旅。ドキュメンタリー映画「響き 〜RHYTHM of DNA〜」
HOME
12の先住民族
ミッション
製作会
賛同者
DNA
12の先住民族
※「撮影終了」の先住民族名をクリックすると、取材済みの撮影手記などをご覧になれます。
ABORIGINAL:アボリジナル
CELT:ケルト民族
ALASKAN TLINGIT:アラスカクリンキット族
HOPI:ホピ族
TAIWANEE HILLTRIBE:台湾の山岳民族
NATIVE HAWAIIAN:古代ハワイの先住民族
AINU:アイヌ民族
UNKNOWN:未知
CELT:ケルト民族
撮影前のプラン
>>> 撮影手記に戻る <<<
ケルト民族について

ケルト十字 【ケルト人とは】

 キリスト教がヨーロッパを席巻するより以前、「言葉」を神聖なるものとし、文字を持たない先住民族がいた。

 彼らは自然を愛し畏れ、この世を無限の時を幸福に生きられる世界と認識していた。それゆえ、ケルト人は、現実世界と神々や妖精が住む異界との境線があいまいである。

 ケルトスピリッツが、今もなお世界中を魅了し続ける理由に、この世界観「ファンタジー」が普遍性を持っているからだろう。それには、大自然と共に生きる叡智が詰まっている。

 この叡智に触れる旅が、HIBIKI第2章「ケルト編」だ。

 しかし、偏に「ケルト人」と言っても、アボリジナルとか他の国の先住民族のように、明らかな形で現存している訳ではない。

 その定義は実に様々で、「人種として」、「歴史上として」、「言語学上として」、「美術様式上として」、などに分類される。

 HIBIKIでは、これらの定義から学び、それらに流れる「スピリッツ」を「ケルト」とする。

>>>詳細はWikipediaへ

ブリテン島:アイルランド、北アイルランド、スコットランド、イングランド、ウェールズ 【口伝】

 ケルト人にとって、「言葉」は神聖なるもの。重要な伝承や物語は、すべて「口伝」で伝えられた。といっても、まったくの「無文字」文化ではなかったようだが、「文字」にすると「言葉」の神聖なるパワーが失われるとされた。

 重要な伝承、「口伝」を担ったのが、「ドルイド」という、ケルト社会において極めて高い位の僧侶たちだった。

 ドルイドになるには何十年も修行を積むと言う。覚える伝承は、250以上の物語に、またそれぞれから派生するものが100以上と言われている。

 これらをすべて「口伝」で伝え、覚えた。

 中でも、「バード」という詩人の階級は非常に高く、彼らの要求は王さえも従った。

 情報を司る、当時のマスコミである。いつの時代も「情報」は、権力を操る。

 神聖なる「言葉」を操る宗教的指導者「ドルイド」、彼らの影響力は超越していた。

 特に、HIBIKIで注目しているのが、アイルランドの詩人神官「フィリ」と言われる位の人たちだ。

 ドルイドは後にキリスト教に滅ぼされるが、フィリは伝承の担い手として生き延びる。

 HIBIKIの旅で、今に生きるフィリの子孫に出逢いたい。

 彼らはすべてを「口伝」で伝えて来た為、ドルイドの滅びは、「ケルト文化」をいっそう謎にした。

 今、私たちが知ることの出来るケルトに関する資料は、ローマ軍によるものだったり、キリスト教の僧侶によるものだったりで、キリスト教文化が入り交じった形で残っている。

 それでも、アイルランドは地理的な条件などにより「守られていた」のだろう、ブリテン島のイングランドやスコットランド、ウェールズに比べて、多くの伝承が今も残っている。

 それは、「歌」だったり、「お祭り」だったり。HIBIKIにとっても魅力溢れるテーマだ。

取材コンセプト

 HIBIKI第2章「ケルト編」は、3つの取材コンセプトを持っている。

 1、人と音楽の関わり 〜歓喜〜

アラン編みセーター ケルト人は、戦いのイメージがあるけれども、本来、自然と平和を愛する民族とも言われている。ヴァイキングやギリシア人・ローマ人など、他の民族の脅威に幾たびも晒されて来て、彼らは自分たちを守る為に戦わざるを得なかったのだろう。

 また、ケルト人は戦いにおいて勇敢であった。名誉と勇気を示す為なら命を差し出す。これは輪廻転生、つまり生まれ変わりを信じていたからであった。そんな彼らを古代ローマ人は「蛮族」と呼んで恐れた。

 そして、険しい大自然の中での農耕と狩りと漁、生き抜くその厳しさ。

 例えば、アイルランドの「アラン編み」として知られるアラン島は、断崖絶壁の岩だらけの荒地。男達は荒海に繰り出て漁をする。

 アラン編みセーターは家ごとに違う編み目を持つ。それは海で遭難した時の、亡骸の目印とする為だった。

 このように厳しい生き方を強いられる一方、それゆえ共に生きる感動も高らかであった。

 ケルト人は、その歓喜を夜な夜な宴会を開き、酒を愛し、美食を愛し、詩と物語を愛した。

 今もアイルランドの人は言う、「僕たちはみんなストーリィ・テラーさ」と。

 そして、彼らの歓喜を盛り上げるもっとも大事なものは、「音楽」だと言えよう。

 このようにして、「アイリッシュ音楽」は、庶民の間で発展して来た。

 現代、「ケルト民族」としての先住民族に出逢うのはもはや不可能である。しかしながら、ケルトの「スピリッツ」は今もなお、子孫にしっかり受け継がれていて、「アイリッシュ音楽」からそれに触れることが出来る。

 HIBIKIは、アイリッシュ音楽に歓喜する人々を取材することで、ケルトのスピリッツに触れる。

 2、人と森の関わり 〜祈り〜

寄生植物 ヤドリギ ケルト社会において極めて高い位の僧侶、「ドルイド」

 「ドルイド」の意味は、「オークの知識を持っている」という意味である。

 これに見られるように、ケルト人にとって、樹木は神聖なるものであった。その中でも「オーク」の木は、「もっとも神聖なるもの」として拝まれた。また、ヤドリギ(宿り木)は、樹木に宿る神の魂として認識されていた。

 そして、うっそうと茂る木立ての中を、聖域とし、「ネメトン」と呼んだ。今も、ブリテンの「バーネメトン」などの地名にその痕跡を残している。

 また、森に住む動物も神聖なる生きものとした。例えば、雄鹿は森の王である。

 このようにケルト人は、森を愛し、森を畏み、森と共に生きて来た。家を造るにも、必要な樹木を一本一本細心の注意を払って採取していたのである。

 森に対するケルト人の愛は、自然と共に生きる祈りであり、そして子孫繁栄の為に伝える「叡智」であろう。

 現代に生きる私たちは、ケルト人の森に対する思いに学ぶものは多い。

 HIBIKIは、ケルトの森を撮る。

 ケルトの風が運んで来る森の香り、森の命を、HIBIKIはただただ伝えてみたい。

 そこにはきっと時空を越えた先祖の愛がびっしり詰まっているに違いない。

 3、人と妖精との関わり 〜ファンタジー〜

交通標識「妖精レプラコーン横断中!」 ケルト人が大自然と共に生きる叡智のひとつに、「人」と「妖精」とのつき合い方がある。

 ケルトスピリッツが今も色濃く残っているアイルランドでは、神は信じなくても、妖精は信じると人は言う。彼らの日常生活の中に、それを垣間見ることが出来る。

 例えば、朝起きたら、まず窓辺に一杯の牛乳を供える。それは、妖精が怒って悪さをしないようにする為である。

 妖精は「良き隣人(グッドネイバー)」と呼ばれないとすぐに怒るらしい。時には赤ん坊をさらったり、森で道に迷わせたり。

 このように、ケルト人は、先祖から子孫へ、その地方に住むと言われる妖精の物語を数多く伝承して来た。

 その物語には、「命」と「死」が描かれている。

 これは、過酷な自然、その理不尽との付き合い方を学ぶ為に。「生きる」を学び、いずれ迎える「死」を学ぶ。学べば救われるのだろう。

 悲しかったり、恐ろしかったり。嬉しかったり。このようにして「妖精」は生まれたのかもしれない。

 ケルト人は、妖精を通して「自然を受け入れる力」を学んで来たのではないかと思う。

 HIBIKIは、「妖精」を庶民のごく普通の日常生活の中から覗いてみるのだ。

>>>「妖精レプラコーン」についてはWikipediaへ

撮影プラン

 HIBIKI第2章「ケルト編」は、主にアイルランドで
3つのコンセプトに沿って取材を行う。

アイリッシュパブ

1、人と音楽の関わり 〜歓喜〜

 → 今も夜な夜な開かれる庶民の宴。酒と歌と踊り。HIBIKIは、アイルランドの各地の「アイリッシュパブ」巡りをしながら、音楽に歓喜する人々を取材する。

2、人と森の関わり 〜祈り〜

 → アイルランドとスコットランドの森に、HIBIKIのカメラが単独で入る。ケルトの風が時空を越えて、先祖代々の愛を運んでくれるかもしれない。

3、人と妖精との関わり 〜ファンタジー

 → アイルランドの庶民的なモデルの家族に密着取材する。彼らの日常生活に息つく「妖精」を撮る。

取材候補地

アイルランドの都市 

 アイルランドは、日本の北海道くらいの大きさである。

 取材のはじめに、首都・ダブリンに入るが、あとは一切を決めないで、アイルランドを一周しながら、取材してゆく。

 HIBIKIスタイル、「アジェンダ・レス」

 ※アイルランドの孤島、アラン島は取材候補地。

 ※ブリテン島の3つの国、スコットランド・イングランド・ウエールズのロケは、アイルランド取材の進捗によって取り行うかどうかを決める。

 ※イギリス南部・ソールズベリーにある「ストーンヘンジ(Stonehenge)」は、撮影しておきたい。

取材時期

 アイルランドには4つの大きな祭りがある。 
 
 ・2月1日 インボルグ祭:子羊の誕生と授乳。

 ・5月1日 ベルテネ祭:夏の始まり。

 ・8月1日 ルナサ祭:豊作を祈願。

 ・10月31日から11月1日 サウィン祭:夏の終わりと冬の到来。

 これらのお祭りのうち、少なくともひとつは、ロケ中に取り上げる。

「HIBIKI 第2章 〜ケルト〜」英語版撮影企画書 >>> ダウンロードはこちらから(PDFファイル)
HIBIKI Color 赤:太陽 黄:月 白:宇宙 これらの色を合わせて「世界」を意味する。