獣医、神戸 俊平。愛称、かんべ先生。
ケニア初の日本人獣医である。
これほどにアフリカが似合う男が、他にいるだろうか。
かんべ先生は、アフリカの風と共にある。
いや、アフリカ大陸そのものを連れて歩いている。
響き第9章アフリカ・ケニアの旅で、たいへんお世話になった。
かんべ先生は、NGO団体「アフリカと神戸俊平友の会」を、活動運営なさっておられる。
主な活動は、
1、マサイの家畜の診療。チェチェバエ、眠り病(トリパノソーマ)の研究。
2、野生動物の保護。象牙不買運動。
3、スラム街の支援。
数々のドキュメンタリー番組でも、取り上げられているので、かんべ先生の名を知る人も多くいると思う。
「かんべ先生、先生の信念、向かう先はどこですか?」
と、聞いてみた。
「私はまだ旅の途中です」
と、かんべ先生。
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【ディレクターズ・ノート:死生観】
現地時間 2017 7.4 22:50
マヤのグアテマラも、相当なカオスだったが、ここナイロビも、少しでも気が緩んだら、一気に飲まれそうだ。
今日は、朝からかんべ先生のご用事の共をさせて頂いた。
ナイロビにある長崎大学の研究所。かんべ先生の研究室がここにある。
それから、かんべ先生のビザの申請に役所へ。
そして、最後は、お仕事の現場にも、ご一緒させて頂いた。
そのお仕事とは、、、
動物の安楽死。
それは、もちろん、獣医としての仕事の一部であるのかもしれないが、間近で見させて頂いて、かんべ先生の動物への深い愛を肌で感じるものになった。
飼い主から、年老いた犬が病気で苦しみ、痛みに耐えている。そこから自由にしてあげてほしい。その依頼。
飼い主も、子どものように、その犬を愛していた。
かんべ先生、淡々と執り行う。
犬を見つめるその目は、命の尊さを自身の魂に刻んでいることがよく分かる。
そして、その犬はイビキをかきながら、痛みに耐えて来た怯える目から、永遠の幸せを得たような、安らかな表情を浮かべて、ゆっくり眠って行った。
僕はかんべ先生の、今日の目を忘れない。
「今日の最後は、キツかったなぁ」
と、僕に心の声を打ち明けて下さった。
命とは、何か、、、
人も、どのような存在も、命あるものは、いずれ死ぬ。
それを分かっていて、僕たちは生きているはずだが、実はそうでもない。
生きるのも大切。しかし、死ぬのも、自然の摂理であり、そこから目を背いてはならない。
悲しいかもしれないが、「死」は、誰にでもやって来るもの。
こんなにも物質化が進んでいるこの世界、それはともすれば、肉体は永遠であるかのような錯覚まで起こさせる。
命が産まれて来る喜びと、死んでゆく悲しみ。
その混在が、「世界」ではないだろうか。
死生観の欠如は、人類として、致命的な問題である。
現代社会の多くの歪みは、ここから来ていると思う。
しかし、まだ間に合う。
かんべ先生の目は、それを語っていたのではないだろうか。
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【ディレクターズ・ノート:かんべ先生とアフリカ】
現地時間 2017 7.27 21:30
こんなにもアフリカが似合う男が、他にいるだろうか。
獣医、神戸 俊平。愛称、かんべ先生。
今日、かんべ先生のロングインタビューを撮らせて頂いた。
かんべ先生は、NGO団体「アフリカと神戸俊平友の会」を、活動運営なさっておられる。
オフィシャルサイト
http://www.s-kambevet.org/
今年で、70歳。
アフリカに来て、40年以上になる。
僕がケニアに来てから、ほぼ一ヶ月をご一緒させて頂いているが、正直、かんべ先生に惚れた。
ワイルドで、でもって愛に満ちていて、知見は遠い未来まで見据えていらっしゃる。
サバンナの荒地で、ランクルーを走らせる姿には、誰もが心を奪われるだろう。
そして、僕が最もすごいなぁと思うのは、スラムや、街中の荒れくれ者とも、全く引けを取らず、スワヒリ語で対等にやり合うのだ。
「Oh! Kambe」
と、街をかんべ先生と一緒に歩くと、あっちこっちから声がかかる。
先生も、それをジョークで受け立つ。
スワヒリ語を僕は分からないが、彼らとのやり取りに、かんべ先生のアフリカ、四十数年の歴史を思わせる。
今回、響きの他に、かんべ先生のマサイの牛を診察するシーン、チェチェバエの採取、そして、研究所でも、撮影させて頂いた。
10分くらいに編集し、今回の旅のお礼に、「アフリカと神戸俊平友の会」で、映像配信出来るようなカタチにしようと思う。
皆さんに、かんべ先生の思いをお伝えしたいのだ。
響き第9章アフリカ・ケニア編、とても濃密な取材となった。
また、僕もいろんな国に行っているが、ここナイロビの治安は、極度に悪く、また、大統領選挙を控えている今、国中がぴりぴりしている。
前回の大統領選挙の時は、大暴動が起き、大勢が死んだそうだ。
このような状況の中、短い期間にも関わらず、響きの取材が実ったのは、かんべ先生のおかげである。
この場をお借りし、深く御礼申し上げます。
一緒にいさせて頂いた約一ヶ月間、かんべ先生との絆が深まった。
向くベクトルは同じ。
大先輩からの学びを得て、これからも一歩一歩と、未来に向かって歩いて行こうと思う。
さて、響きの旅も残り一週間。
明日から、ひとりで、ナイロビを離れて、バリンゴ湖へ、フラミンゴの大群を撮りにいく。
本来は、ナクル湖にいたのだが、気候の変動で、そこにはもういないようだ。
バリンゴ湖で、チャレンジ。
二泊三日くらいで、7月31日までには、ナイロビに戻りたい。
というのも、大統領選挙間近で、治安が一気に緊張するようで、8月に入ったら、出来るだけ外出を控えようと思う。
また人々も、暴動に備えているようで、学校も選挙前後の一週間は閉鎖するようだ。
もし暴動が起きたら、即、帰国の途につけるようスタンバイ。
予定通りであれば、ケニア時間の8月4日のフライトで日本に帰る。
それにしても、ケニアのダートロードは、これまでのどの国よりもハードだ。
注意して運転しても、車のパンクが、二度もあった。
皆さま、明日からラストスパート。旅の安全をお祈り下さい。 |